2015.4.17

アロエベラジェルと帝王切開創傷治癒に関するランダム化比較臨床試験

訳、コメント:加藤絹子

原著:Molazem Z, Mohseni F, Younesi M, Keshavarzi S.

Aloe vera gel and cesarean wound healing; a randomized controlled clinical trial. 2014 Aug 31 ;7(1):203-9. doi: 10.5539/gjhs.v7n1p203. PMID:25560349 より翻訳

背景

傷の完全な治癒ができないことは帝王切開で予想される合併症のひとつつである。本研究は、帝王切開創傷の治癒にアロエベラジェル入りの包帯が有効であるかどうか確認することを目的としている。

方法

この展望的無作為化二重盲検臨床試験は、アミール・アル・モメニン病院(イラン、ゲラシュ)で帝王切開手術を受けた90人の女性を対象に行われた。参加者は、無作為にそれぞれ45人の患者から成る二つのグループに分けられた。一つのグループには患部にアロエベラジェル入りの包帯が提供され、もう一方の対照群には普通の包帯が使用された。創傷治癒は、REEDAスケールを使用して帝王切開後1日24時間・8日間にわたって評価された。データはカイ二乗検定とt検定で分析された。

結果

参加者の平均年齢はアロエベラグループで 27.56±4.20歳、対照群で 26.62±4.88歳だったが、その差は統計的に意味のあるものではなかった。しかし、肥満指数、心拍数、収縮期血圧に関して、両群の間に著しい違いが見つかった(P <0.05)。

また、術後24時間の創傷治癒スコアに関して、両群の間に著しい違いが観察され た(P = 0.003)。しかし、8日後、創傷治癒スコアの違いは、それほど大きくなかった(P = 0.283)。全体として、アロエベラグループの45人の参加者と対照群の35人の参加者が、術後24時間に獲得したスコアはゼロであった。術後8日目で評価されたこれらのスコアは、それぞれ42と41であった。

結論

本研究の調査結果によれば、アロエベラジェル入り包帯のプラス効果を女性に知らせることが推奨される。


コメント

アロエは200種以上もの近縁種が属し、園芸用も含めると500種類以上。科名ツルボラン科(ユリ科)の常緑多肉多年草です。

日本の各家庭で栽培されているアロエのほとんどはキダチアロエ、(学名Aloearuborescens。aruborescensとは木のような、という意味から木立アロエ)がほとんどです。

このアロエは日本の気候や風土に合ったアロエで、アロエベラ(学名 Aloe barbadensis、西インド諸島のバルバドス島から名づけられた)との違いは、まず大きさにあります。欧米ではアロエといえば一般的にアロエベラを指します。アロエベラは、アロエの中で最も大きなアロエで、キダチアロエの10倍以上の大きさに成長します。しかし、アロエベラは寒さに弱く、日本では沖縄でしか育ちません。

今回ここで取り上げられているのはアロエベラ。アロエべラのジェルは内側にある粘液性のねばねばした部分のことを指します。

過去にも、婦人科における帝王切開術後や開腹手術後の女性を対象にした、アロエベラの臨床試験は度々おこなわれてきました。今回の臨床試験の結果のように、アロエベラのジェルは創傷の治療に有効と言われていますが、今後も検討が必要です。危険性はないが手術などの深い開放創では治癒が遅れることもある、という意見もあります。

アロエベラのジェルにはムコ多糖やステロイド、サポニンなどが含まれ、日本でも昔から火傷や日焼けの炎症、肌の健康を保つための外用剤として有名です。また、内服用では、緩下作用、免疫強化作用、血糖降下作用等があると判っていますが、今後も世界中の研究者や製薬会社が、解明し切れていない様々な作用を研究をつづけていくことでしょう。


出産は期待と創造性に満ちた時間です。でも驚異的な局面に出会うかもしれません。そして、出産直後はさまざまな新しい体験、どっと押し寄せてくる赤ちゃんとの生活が待っています。赤ちゃん自身も外界の環境に順応する期間、母親は帝王切開による身体的ショックと傷の痛みをやわらげ、活力の回復、身体の調子を整えなければなりません。早く痛みが引けばそれだけ赤ちゃんの世話が楽になるでしょう。

術後、帝王切開の痕で悩まれる女性も多く、特にケロイド状となった場合は憂鬱な気持ちになるかもしれません。アロエべラの消炎作用、外傷治癒作用、鎮痛作用、経皮吸収促進作用の臨床試験が進み、産後の女性の安心と穏やかな治癒の期待となることを願います。今後も改めて注目していきたいと思います。

参考資料:

日経ナショナルジオグラフィック社発行、日本メディカルハーブ協会監修「メディカルハーブの事典」