2017.12.1.

【ペットのケア】愛しいペットに与えたいハーブ

ノラ・コーポレーション取締役会長

金田郁子

わが家にはエアデールテリアとワイヤーフォックステリアがいます。陽気な性格のテリアたちは好奇心旺盛で、よく食べ、よく遊び、常に元気よく動き回っていたのですが、この冬にはともに13歳を迎えます。すでに老犬の域に達した2頭は、一日の大半を寝て過ごすようになりました。

いつも心が通い合う愛おしい犬たち。毎日のごはんに気を配り、些細な体調の変化にも手元にあるハーブサプリメントを活用しながら、少しでもハッピーな毎日を過ごしてくれたらと願いつつ暮らしていますが、時折「いつまで彼らと一緒にいられるのかなぁ」と一抹の不安と寂しさが心をよぎることもあります。

我々人間と同じように医療の発達、食事や住環境などの改善により、以前とは比較にならないほど寿命が延びている動物たち。長寿に伴い、いつまでも一緒にいられるという幸福感を味わいつつも、残念ながら動物たちもシニア期には私たち人間と同じ症状で苦しむようになってきました。

食欲が落ちてきたり、せっかく食べたものもうまく消化できずに、下痢や便秘を起こしやすくなります。心臓が弱ったり、血管に老廃物が貯まるなどで血流が悪くなり、からだも冷えるようになります。心臓疾患により苦しそうな息をしたり、咳が出るようにもなります。腎臓も弱ってくるので、おしっこのトラブルも起きてきます。肝臓が弱ると、解毒ができなくなって皮膚に湿疹などのできものができやすくなることもあります。白内障を発症するなど、視力の問題も起きてきます。脚腰が弱ります。認知症を引き起こした動物たちは、弱った脚腰を引きずりながら、徘徊したり、ぐるぐるといつまでも際限なく回ったりします。

しかし何といっても、シニア期のからだに起こりやすい不調で特徴的なものが、ちょっとした不具合が長年蓄積することによって出てくる慢性疾患なのです。シニア期の慢性疾患のほとんどは、何らかの栄養の慢性的な不足が原因といわれています。

できるだけ早い時期に動物たちそれぞれに合わせた食事の計画を立て、多くの疾患や不調を予防できる可能性を増やしておきましょう。
まずは食事に気を使い、いつもの食事に足りないものはハーブで補い、動物たちのQOLを高めてやりましょう。もう遅い!ということはありません。さあ、今から始めましょう。シニア期に役立つハーブをいくつかご紹介します。

ハーブを使用する目的は、動物たちが元々もっている自然治癒力に働きかけることです。動物たちの健康状態に応じて1~2種類の基礎になるハーブを決め、そのハーブと相性のいいハーブをさらに数種類、ブレンドしていきましょう。からだが本来もっている自然治癒力を呼び起こし、ゆっくりと丈夫なからだになるように、基礎になるハーブはマイルドで強壮作用のあるものを使い、その配合率も高くします。ひとつのハーブではできない仕事でも、いろいろなハーブの力を借りることで相乗効果が得られるのがブレンドの魅力です。あらかじめブレンドされた商品もありますので、これらをうまく利用して、愛する動物たちの日常を健康で豊かなものにしていきましょう。

栄養補給や消化不良、下痢や便秘などに役立つハーブ

シニア期を迎えた動物たちにはからだの機能や組織の低下を防ぐために十分な栄養が必要になります。栄養補給の目的で使えるハーブとしてスピルリナやネトル、ガーリックなどがあげられます。ガーリックで消化が不調になる(ガスが多くなる)場合は、与える量を減らしてみましょう。カモミールがガスの軽減に役立つ場合もあります。腸内の善玉菌に栄養を与えてくれるプレバイオティクスを増やすには、イヌリンの豊富なチコリがおすすめです。下痢や便秘を起こしがちなシニア期の動物には、マシュマロウやスリッパリーエルムが症状を軽くしてくれます。

心臓の働きを助け、血管を強くし、からだを温かくするハーブ

一般的に肢の先や耳、しっぽなど、末端がいつも冷たい場合には心臓や血管の力が衰えていると考えられます。循環器系に働くのはホーソンベリー。ホーソンベリーは毎日与えていただきたいほどのおすすめハーブです。また、血流をよくし、血管を強化する役目のイチョウやヤロウも役に立ちます。イチョウやヤロウでサラサラになった血液を、ポンプの役目をする働きのよくなった心臓を通して、からだの隅々まで届けてあげましょう。からだも温まるし、弱った臓器の働きも助けてくれます。

おしっこが気になる動物たちに与えるハーブ

休みなく血液の老廃物をろ過し続けている腎臓は、負担の大きい器官です。シニア期にはイチョウとホーソンの2種を1日に2回与えるといいでしょう。さらにマシュマロウやオオバコなどを加えて与えるのもおすすめです。おしっこが気になるならダンディライオンやネトル、パセリの葉などのうち、いずれか1種類のハーブティーを飲み水に少し色がつく程度に入れて飲ませるのもよいと思います。栄養も豊富なので、毎日続けて与えてもよいと思います。また、おしっこがガマンできずに、ちょっとだけ漏らしてしまう動物には、カウチグラスやマシュマロウがおすすめです

お薬をよく使う動物に与えるハーブ

私たち同様、動物たちも加齢とともに臓器が衰えていくのは無理もないことです。お薬をよく使うようになったら、ダンディライオン、バードック、マリアアザミなどを与えて、解毒し、肝臓を守ってやりましょう。

シニア期を穏やかに過ごすために役立つハーブ

以前と比べて落ち着きがなくなったり、すごく寂しがるようになったりしたらオート麦を毎日与えましょう。やたらとうろうろするなどのおかしな行動をとり始めたら、バレリアンやイチョウやゴツコーラ、ペパーミントなどのハーブを使ってみましょう。場合によってはセントジョンズワートもよい働きをしてくれます。

白内障など目の不調に役立つハーブ

つぶらな瞳に少し白いにごりが見えてきたら、白内障かもしれません。ビルベリーやカレンデュラなどを与えてみましょう。イチョウが役に立つこともあります。

肢が弱ってきたら使いたいハーブ

一般的に、加齢とともに体内のケイ素量が減少し、組織の退行や新しい組織を作る能力も衰えるといわれています。ふしぶしの健康を維持するためにも、ケイ素バランスに気をつけたいものです。いつもの食事にホーステイルをプラスして、動物たちのケイ素バランスを維持してあげましょう。ネトルやユッカの根と組み合わせるのがさらにおすすめです。

寝たきりになってしまったときに役立つハーブ

動物たちが寝たきりになってしまったら、定期的に体勢を変えてあげるのが一番ですが、イチョウやホーソンなどのハーブを用いたり、エキナセアやガーリックなども使っていただきたいハーブです。もし床ずれができてしまったときは、アロエベラやカレンデュラの軟膏を塗布してあげるのもよいでしょう。

ノラ・コーポレーション取締役会長
金田郁子 かなだ・ いくこ
立教大学文学部英米文学科卒。1994年、ハーブサプリメントの輸入および製造・販売会社ノラ・コーポレーションを設立し、現在に至る。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第42号 2017年12月