2021.3.5.

ガーデニングデザイン #8 樹木と楽しもう

樹木医

本位田有恒

日本は四季のある国、森林に覆われている国でもあります。私たちは昔から樹木と共に暮らしてきましたが、日々時間に追われ生活する現代そのおつき合いが少なくなってきているかもしれません。そんな方たちも癒やされ、元気をもらうことができる樹木とのかかわり方をご紹介します。

お花見に出かけよう!

春になれば暖かくなり、植物たちもぐんぐん成長してきます。何より花を咲かせて、私たちの目を楽しませてくれ、憩いをもたらしてくれます。その中でもサクラのお花見は、冬の寒さから一気に体も心も解放してくれる日本の代表的なイベントといえるでしょう。この時ばかりは、普段は気にもしないサクラを見て「もうすぐ咲くかなあ」「満開だよね」など声をかけられていることと思います。また、サクラだけでなく昔から春を告げる花として有名なコブシは、田んぼの作業を始める目安にされてきた樹木で人々に愛されてきました。最近ではオーストラリア原産ですが、イタリアで「女性の日」として男性から女性に心を込めて贈られる花、ミモザは春先にまぶしい黄色が元気をもたらしてくれる樹木です。街中でこの花を見ると「春が来た」と思われる方も少なくないでしょう。

木登りしたいと思いませんか

子どもの頃、登りやすそうな枝ぶりの木を見つけて木登りをした経験はありませんか。木の上から見る景色はいつもとは違い、別の世界を見ているようです。この景色を見ることができ、かつ安全に楽しめるのが「ツリークライミング®※」です。ロープを木にかけて、自分の力で子どもから大人まで誰でも木登りができます。一度体験ください!

Column あの頃を思い出すクスノキの香り

私が小学生の頃、家の前に植わっていた木に仲間と一緒に探検気分で登っていたことがあります。その時に葉っぱをちぎっては匂いを嗅ぎ、「いいにおい」「元気が出る」といっていたのを覚えています。その木はクスノキでした。樟脳しょうのうの香りが今でも好きなのは、その時の原体験からかもしれません。

森林浴で癒やされる

森や神社などの林に入ると「気持ちがいい」「いい香り」「空気がきれい」と感じることがありませんか。これらは「森林の香り」といわれていますが、新築の木造住宅やヒノキ風呂などの香りと同じで「フィトンチッド」といいます。

フィトンチッドは私たちが森に入ると様々な効果をもたらしてくれます。これを体感できるのが「森林浴」。森林浴の主な効果として、ストレスを解消し、気持ちを安定させてくれるリラックス効果や健康を保持、増進してくれる効果などが期待されています。山や鎮守の森、公園など、樹木の香りを楽しむことができる場所はいろいろあります。お気に入りの場所を見つけて森林浴を楽しんでみましょう。

Column フィトンチッドとは

フィトンチッドには他の植物が成長しないようにする作用や昆虫や動物に葉や幹を食べられないための作用、昆虫や微生物を遠ざけたり、逆に呼び寄せたり、病気に感染しないようにする作用などがあります。樹木に代表されるように植物たちは、自分が動けない代わりに自分の身を守ろうとしているわけですが、同時に私たち人間にいろいろな効果をもたらしてくれています。

憧れのツリーハウス

憧れのツリーハウス誰もが一度は憧れる木の上のお家、ツリーハウス。見晴らしだけでなく、木と一体になった家は冒険心や遊び心、さらに癒やしの空間としても満足させてくれるものでしょう。ツリーハウスでなくても、樹木の下で過ごす時間は至福の時間です。ハンモックに寝ころびながら、ぐっすり眠りにつくのもいいかもしれません。

まとめ

樹木だけでなく植物とのかかわりは私たちにとって、とても大切です。それは動物にはない植物のチカラが生活をしていく上で必要だからです。
しかし、私たちはそのことをいつも気にかけているわけではありません。次の世代が今と同じように植物とつき合っていくためにはどうすればいいのか。普段何気なくそばを通っている樹木たちが、少しでも違った印象になっていれば幸いです。

http://www.treeclimbingjapan.org ←ツリークライミングについての詳細はこちら

樹木医
本位田有恒 ほんいでんありつね
大学で造園について学び、神戸市の都市公園・日本庭園「相楽園」の園長を務め、その後、2019年3月まで神戸布引ハーブ園の園長職。その他数々の庭園や公園づくりに携わり、神戸市の緑花まちづくりにも取り組むなど、植物に対して深い造詣をもつ。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第51号 2020年3月