2020.12.16

二十四節気七十二候 季節の植物を観察

シニアハーバルセラピスト

杉本 恵子

薬用植物園見学会報告 in 宮城レポート

日程:2018年6月6日 場所:東北医科薬科大学附属薬用植物園

二十四節気七十二候 季節の植物を観察

昨年の秋と同様、東北医科薬科大学附属薬用 植物園で佐々木健郎教授の案内にて見学会が行われました。この日は二十四節気七十二候の芒種螳螂生(ぼうしゅかまきりしょうず)。穀物を植える目安の時期で螳螂がふ化する頃といわれる時期。植物もこの季節特有の花が咲いていて秋とは随分と趣が変わっていました。

見学会は構内で佐々木教授の講義を受けることから始まりました。薬食同源と医食同源から、薬膳、薬と毒、『神農本草経』、陰陽五行、対症療法と随証療法についてなど。時間は30分くらいだというのに参加者が知りたいポイントをしっかり押さえてくださり、とても濃い内容の講義でした。時間が許すならもっと聴いていたい!と思ったのは私だけではなかったようです。そして、植物園へと移動して様々な植物の説明を受けました。園内は教科書や図鑑でしか見ていなかった植物がそこかしこに植えてありました。説明を聞きながら、あちこち気になって話を聞いてはシャッターを切る……を繰り返していました。

ハーブ類ではマロウ、タイム、コーンフラワーなど数多くの種類が花開いて華やぎ、生薬ではトウキやスイカズラの金銀花が花盛りでした。中でも珍しかったのはマオウの花 。説明されるまでは花とは気がつかず根元にたくさん咲いていた小花を見逃すところでした。 その他、毒草なども多数あったので興味深く観察しました。

また、二十四節気七十二候に合わせたハーブと茶道を融合させた茶会を毎月開催している私の目的は、 七十二候に登場する植物の観察でもありました。

今回のメインは夏至の初候である乃東枯(なつかれくさかるる)の夏枯草と呼ばれているウツボグサと、末候である半夏生(はんげしょうず)のハンゲ=カラスビシャク。ウツボグサはまだ花が 咲いていませんでしたが、カラスビシャクはちょうど咲いていました。カラスビシャクについて興味深く質問すると、 先生が一本抜き取って球根を実際に見せてくださいました。生薬のハンゲはこの球根を乾燥させたもの。 昔は田畑の近くにたくさん生えていて、畑仕事を休む間にこ れを掘りためては薬屋に売ってヘソクリにしていたので別名ヘソクリなのだそうです。

最後は構内の生薬標本棚の見学。生薬となったハンゲをチェックしたのは勿論ですが、珍しいものでは冬虫夏草や熊胆などもあり、気持ち悪いながらも貴重な体験となりました。

同じ場所でも季節が違うと内容が全く変わるのでとても新鮮で楽しく勉強させていただきました。

佐々木教授、JAMHAスタッフの皆様、本当にありがとうございました 。

   

マオウ
ハンゲ

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第45号 2018年9月