2020.9.16

美肌効果の高い身近なハーブに関する海外での最新研究論文情報

国際情報委員

髙田直子

肌によいハーブといえば……?

肌によいハーブというと、どのようなハーブが思い浮かぶでしょうか。代表的なところでは、豊富なカロテノイド により皮膚や粘膜の修復作用のあるカレンデュラCalendula officinalis)、高い消炎作用により肌荒れなどの皮膚トラブルに使われるジャーマンカモミールMatricaria chamomilla, Matricaria recutita)、粘液質を豊富に含み保湿効果の高いウスベニアオイMalva sylvestris)やリンデンTilia europaea)、美白作用が知られているマルベリーMorus alba)、それに「ビタミンCの爆弾」との呼び名をもつローズヒップRosa canina)あたりでしょうか。

これらのハーブはハーブティーとして飲用するだけでなく、チンキでローションを作る、浸出油、軟膏などで皮膚を保護するなど、体内、体外両面からの働きかけが期待できます。

実は美肌効果の高い身近なハーブ

肌への美意識が高いといわれる日本人女性にとって、美肌対策は世代を問わず、とても気になるところですね。ところで、海外では「日本人女性の 肌はとてもきれい」と一般的にいわれています。私たち日本人に特有な習慣や食生活などに、知らず知らずに美肌に奏功しているものがあるのでしょうか。

ハーブの臨床研究報告を調べてみると、私たち 日本人にとってとても身近な食材に、実は高い美肌 効果があることが分かりました。例えば、緑茶(グリーンティー)(Camellia sinensis)は、紫外線から皮膚を保護し、女性の肌質を改善することが報告されています(論文A)。アメリカで実施された臨床研究でも、同様な研究結果が報告されました 。

そして、味噌や豆腐、醤油、納豆 、油揚げなど、私たち日本人の食生活に欠かせない大豆(Glycine max )は 、 閉経女性の肌状態を改善することが報 告されています(論文B参照)。また、近年中国で 実施された臨床研究でも、大豆オリゴペプチドに は紫外線 B(UV-B)からの保護作用があることが報告されています。

その他に美肌効果が期待できるハーブとし て、アロエベラAloe vera)や朝鮮人参Panax ginseng)、オートAvena sativa)といったハーブにも、 保湿作用やシワ改善、肌荒れへの作用などが報告されています。

ハーブには 、まだまだ解明されていない様々な成分や作用があります。今後も引き続き、美肌に効くハーブについて世界の研究報告に注目しつつ、会員の皆様にお伝えしていきたいと思います 。

論文A 緑茶が紫外線から肌を保護

ドイツで女性60名を対象に二重盲検で無作為に緑茶ポリフェノール飲料(総カテキン1,402/日含有)またはプラセボを摂取する群に分け、12週間観察したところ、緑茶摂取群では紫外線による皮膚の紅斑の抑制や皮膚の弾力、密度、保水性、血流量や酸素濃度の増加が認められました。

Green Tea Polyphenols Provide Photoprotection, Increase Microcirculation, and Modulate Skin Properties of Women, The Journal of Nutrition, Volume 141, Issue 6, June 2011, Pages 1202–1208.
https://doi.org/10.3945/jn.110.136465

キーワード緑茶、緑茶ポリフェノール、紫外線、皮膚の紅斑、保水性、酸素濃度

論文B 大豆イソフラボンが閉経女性の肌を改善

ブラジルで閉経女性30名が毎日大豆の濃縮抽出物100mgを摂取したところ、6ヶ月後には肌の表皮の厚みや弾性繊維、コラーゲン、シワの状態、血管状態が改善しました。

Cllincs(Sao Paulo).2009;64(6):505-10

https://doi.org/10.1590/S1807-59322009000600004 

キーワード
大豆、大豆イソフラボン、大豆オリゴペプチド、弾性繊維、肌の表皮、コラーゲン、シワ、血管、

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第45号 2018年9月