2014.10.20.

スリランカ キャンディー Ayur EXPO 2014」に参加して。~世界はケミカルフリーへ!?~

日本メディカルハーブ協会国際情報委員会

紹介者:加藤 絹子

スリランカで最大級のアーユルヴェーダの展示会といえば「アーユルヴェーダEXPOコロンボ」。スリランカのアーユルヴェーダ関係者が見に来て、商談をするイベントです。勿論一般の方も参加可能、色々話を聞いたり、学んだり、その場で購入することもできます。ハーブ、アーユルヴェーダの薬、食、衣料、コスメ、生活回りすべてのアーユルヴェーダ製品がいっせいに揃います。(2013年海外植物園ツアーにて見学)

スリランカの中央部の盆地にある古都キャンディーは、16世紀後半に成立したシンハラ朝の最後の都。そのキャンディー市主催の、第2回「Ayur EXPO」。この展示会は7月24日~7月26日の3日間、キャンディー市内、若者に人気のデパートキャンディーシティーセンター内にて行われました。小さなキャンディー市内はこのEXPOを見に来た人で渋滞が続き、ホール内もアーユルヴェーダ商品と食を中心とした出店舗と人で埋め尽くされていました。見に来た人はいい商品を探そうと皆さん真剣!私もこの3日間、毎日会場にいて、毎日皆さんの色々なお話を聞いてきましたのでご報告します。

今回はスリランカのキャンディー市を中心とした50店舗の出店、コロンボのEXPOとは異なる、様々なアーユルヴェーダ商品を見ることができました。またインド企業の出店も20店舗と多く(昨年のコロンボアーユルヴェーダEXPOは5店舗)、インドのアーユルヴェーダ企業はこれからもスリランカに進出してくるでしょう。

ざっと見て、今回とても惹かれたのは、肥料・農薬を使用せず栽培した「自然栽培米」 の専門店!完全に精米されていない栄養豊富な、赤米「ラトゥ・キャクルハール」はスリランカの多くの人の日常食ですが、今、自然栽培米の赤米を求める人が増えてきたそうです。もともと自然栽培米はスリランカに3000種類ありましたが、環境汚染、森林伐採等、環境破壊によって現在は約150種に減りました。特にスリランカの都市部では、糖尿病を患っている人や体重コントロールを必要としている人が多く、自然栽培米の赤米が再び注目されています。去年のコロンボで行われたアーユルヴェーダEXPOでは自然栽培米、赤米の専門店出店は無かったので、この1年で更に国民の健康志向が高まったとも言えるのではないでしょうか。私も購入し自宅で食べましたが素直に「美味しいな」と思いました。

「何故、自然栽培がいいのか?」赤米だけでなく、薬草も野菜も果物もスリランカの人は自然栽培にたいへんこだわります。TVや新聞でもたびたびこのテーマは取り上げられるのですが、農村部に住む人や伝統療法医学医師、アーユルヴェーダDrたちは「本来の自然の力」「根源的な植物のエネルギー」に意味があって、その植物がどうやってできてきたか、植物として成長したり、実をつけるまでのすべてに目が向きます。流れている水、空気、太陽のエネルギー、月のエネルギー。こういった自然栽培の食物はスリランカの農村部では本当に一般的で、大人から赤ちゃんの口に入り、生活周りのものが、ほとんど自宅で主婦たちの手によって用意されています。

例えば、リップクリーム。日本でも自然のいいものが売っていますね、スリランカの主婦たちもココナッツ油などの植物オイルに、蜂の巣からとった蜜蝋で作ります。また美しい髪は美人の証とばかり、髪の毛を大切にするスリランカ女性。ココナッツの発泡酒(アラック)とはちみつの入っているシャンプーのお手製がお勧めだとか(日本でもビールとの組み合わせで、聞いたことのある組み合わせ)、ニームとコリアンダーなどのスパイスを煮だし、ゴマオイルと合わせ作る石鹸が良いなど、お手製のものが一番コシのある髪がよみがえるそうです。カレーに欠かせないスパイスは勿論のこと、お砂糖や塩も自分で作る主婦も多く、日本にいると「植物療法はちゃんと広がっていくのだろうか?」と時々不安に思いますが、ここでは確実に女性たちの生活の知恵に支えられ守られていると感じます。

当日は、素敵なアーユルヴェーダ商品にもたくさん出会えました。世界中で注目を浴びているココナッツオイルの美容製品。紫外線やストレスでダメージを受けた肌や髪の毛、加齢に対抗する力をくれる自然からの贈り物。スリランカではおなじみのゴートゥコーラのハーブティー。ブラフミと書かれているのは先日協会HP国際情報トピックスで紹介したバコパモニエリではなくゴートゥコーラの脳に効くシロップ。皆、自然と寄り添いながら製品を作っています。

スリランカでは現在1500種の薬草が国に登録されており、薬草として使われています。また、このちいさい島には、たくさんのハーブ薬局があり、健康と美容相談もそこで一緒に引き受けてくれます。西洋医学よりのスキンケア商品やサプリメントを製造していた会社がアーユルヴェーダ製薬に方向転換をすることも最近は増えてきました。昔からの智慧に学び、今後もさらにアーユルヴェーダ製品開発企業は増えていくでしょう。

そして、このEXPOでは珍しい森の薬草にも会う事が出来ました。スリランカの森の奥深く、ユネスコの生物圏保護区の森に生息します。シンハラ語で”カストゥリデヒ”、Atalontia ceylonica ミカン科の植物です。写真のように葉は単葉で肉厚く、濃緑色。写真の樹では花がありませんが、小さく白い花が咲き、果実は黒い大豆くらいの大きさです。森の奥深くに生息し、自然遺産地区でもあることから採取が難しく、一般的な薬草ではありません。毒蛇にかまれたとき、傷、炎症、化膿、皮膚炎、に強い効能を持つそうです。肉厚の葉の部分をペースト状にし塗ると、殺菌性のある薄い膜となり、傷を外部から保護するそうです。

この写真の植物はなんでしょう?スリランカを代表する薬草、日本でもおなじみ”サラシア”です。シンハラ語で”コッタラヒンブツ”、Salacia reticulata ニシキギ科サラシア属の植物。現地のシンハラ語で”神の恵み”という意味を持つお馴染みのサラシアは糖尿病に効果があります。風邪の引き始めには葉と茎をポリッジにして食べることもあります。またサラシアのハーブティーも一般的に飲まれています。特に女性は50歳を境に体が変わるといわれています。これはスリランカでなくても世界各国同じではないかしら・・・。太るとか、痩せるとかだけじゃなくて、血管のしなやかさや、今までは無縁だった血圧や糖代謝、コレステロールの問題が全部自分のことになる時期が来る。そのためにも生活にハーブティーを、野菜と果物の特性を知り、上手にビタミン、ミネラルを身体に取り入れる。スリランカ人のほとんどの人が、毎日ゴートゥコーラサラダを食べています。それだけでなく生の薬草をサラダでよく食べます。薬草のポリッジは定番。果物もいつもテーブルに山のようにあります。お母さんたちの薬草への知識はもう凄すぎ!やっぱり土着医療には、アーユルヴェーダには5000年愛される何かがあるのだと感心してしまいます。

写真の並ぶ賞状のようなもの何だと思いますか?コロンボのアーユルヴェーダEXPOにはなく、地方開催のキャンディーだからこそ見られるもの。これ国が発行している、スリランカ伝統療法医学医師認定の証明書。1935年からこの制度は導入されました。年代によって少しデザインが違います。3日間アーユルヴェーダ省のブースでは、伝統療法医学医師達への様々なサービスが提供されていました。紛失された人のために、伝統療法医学医師認定書の再発行。英語版の申請。伝統療法医学医師と記載された、身分証明書の申請。病院等、優先的に駐車できるシールの発行。また改正された医療事項のセミナー。あらたな薬草に関する情報。省庁お勧め書籍の販売。来期、国の伝統療法医学医師認定試験の願書受付、等々。伝統療法医学医師は農村部や山陰にも多く住むため、省庁がこのようにブースを設けてくれると助かりますよね。国が知的財産として伝統医療医学医師や、薬草を、また森林を始めとした自然をいかに保護しているかがわかります。大学出身のアーユルヴェーダDrにはこのようなサービスを行っていないのですから。3日間大勢の伝統療法医学医師で列をなしていました。

そんな中出逢ったのが笑顔がステキで、最近の日本ではかなり希少な!?ハニカミ屋で、恥ずかしがり屋の伝統療法医学医師ブッディカさん(27歳)。昨年、国の伝統療法医学医師認定試験を受け、現在はキャンディーから2時間半ほどの村で診療しているそうです。もともとお祖父さんが伝統医療医学医師で世襲しました。専門はヘルニア。ブッディカさんの病院には常に新鮮な500種類の薬草と、秘伝のオイルの香りが漂い、毎朝、占星術で決められた、吉報の時間に窯に火を入れるそうです。診療所と、パンチャカルマ施設があり、15名の患者が滞在しているとのこと。スリランカの約70パーセントが世襲された伝統療法医学医師といわれています。大学出身のアーユルヴェーダDrはほんの一握り。大学で学ぶより簡単に伝統療法医学医師になれるかといえばそうではなく、最低でも10年の修行が必要です。3日間私のガイドを務めた大学出身のアーユルヴェーダDrニリーカ曰く、大学を出て試験を受けたほうが楽と一般的に考えられているそう。秘伝のオイル、特別な薬草の使い方は世襲によって受け継がれるため、外部に情報が出ません。そのため人々は治癒のために伝統療法医学医師の元へ訪ねます。大学出身のアーユルヴェーダDrよりも一つの疾患に関し深く親から専門的に学ぶため、評判のいい伝統医療医学医師のもとには患者だけでなく、アーユルヴェダ医師もアーユルヴェーダ製品企業も何か新しいヒントがないものかと駆けつけます。

ブッディカさんになぜお祖父さんの後を継ごうと思ったのか尋ねました。
「子供の頃は、誰もが動植物や昆虫や川魚にワクワクと心を踊らせた経験があるでしょう。自然界の生命の生態を観察して、動植物を育てるうちに「自然ってすごいなぁ、どうしてこうなっているのかなぁ?」と様々な疑問を持ち、私も自然と共生する生き方がしたくなった。」と。大学出身のDrニリーカも「アーユルヴェーダを通して、生命の不思議さに驚いたり感動する心を世界中の人に取り戻してほしい」と願っています。

スリランカ古都キャンディーは、車の需要が増え、排ガスによる大気汚染も深刻です。キャンディーだけでなく、ここ数年のスリランカで交通渋滞は特に凄まじくなりました。中心にある仏歯寺を中心にキャンディーは町全体が世界遺産に登録されていますが、このまま排ガスによる大気汚染が深刻になると、世界遺産から除外される可能性も出てきます。

環境問題は大人になってから考えるものではなく、生まれ育つ過程で身につけるものであり、人間の生き方の指針となるものでした。難しい環境問題を抱え込む前に、空や星や太陽を眺めたり、足元の生物に目を向けたりすることが、人間による環境破壊を防ぐ最上の方法ではないかと・・・。小さな子供たち、次の時代に繋げていかなければと、祈りを仏歯寺に込めた滞在になりました。

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