2021.1.11.

大地のパワーで心と身体を癒すオーストラリアの旅

日本メディカルハーブ協会国際情報委員

河野加奈恵

日程:2019年11月7日〜14日

メルボルン・ブルーマウンテン・バイロンベイ

2019年のJAMHA海外ハーブツアーは古代ゴンドワナ大陸の名残を残すオーストラリア。オーストラリアは世界でトップのオーガニック農場を保有するオーガニック大国で、西洋ハーブ療法を含む自然療法(ナチュロパシー)が西洋医学と共存しています。今回は、西洋ハーブが自然療法のツールの1つとして実際に人々の生活にどのように生かされているかを学び、経験し、同時に、オーストラリアの自然に触れてハーブが生まれる雄大な大地のエネルギーを感じる、という贅沢なツアーになりました。

1日目

秋の成田から春のメルボルンに到着。夜遅くの到着となり、チェックイン後すぐに就寝。翌日に備えます!

2日目

Southern School of Natural Therapies (以下SSNT)キャンパス見学

写真 1

4年制のナチュロパシー学科をもつSSNTを訪問し、SSNTの母体 Torrens University Australiaのイノベーション・産業・雇用部門ディレクターのナタリー・クックさんとSSNTシニア講師のグレッグ・コノリー博士に迎えていただきました。ナタリーさんはオーストラリア最大で最も権威のあるナチュロパス・ハーバリストの協会 Naturopaths & Herbalists Association of Australia(NHAA)のプレジデントでもあります。コノリー博士からは、ナチュロパシーの医療哲学や、栄養療法・西洋ハーブ療法などから構成される学問体系などの講義に加え、ケーススタディを例に挙げ、ハーバルフォーミュラをどのように作るかを実演していただきました(写真1)。実際にエキナセア、アイブライト、タイム、リコリス、シナモンのハーブチンキのブレンドをみなさんで試飲。質の高いエキナセアの証拠である舌で感じるチクチク感を体験していただきました。また、学生クリニックでのコンサルテーションの様子や、栄養素サプリメント・ハーブチンキ・ホメオパシーレメディ・フラワーエッセンスが並ぶクリニックの調剤室を見学しました(写真2)。

写真 2

アボリジニヘリテージツアー

写真 3

ビクトリア地方はアボリジニのクリン族系のブーン・ワルーマ族とウォイウルング族の人々が住む地域でした。午後に訪問したメルボルン王立植物園では、アボリジニの人々が、薬用、生活道具、食用に使用していた植物やハーブを通して、アボリジニの人々と植物との深いつながりを学びました。アボリジニの血を受け継ぐガイドのジャコビさんが、園内にあるレモンマートルなどのブッシュフード、ブッシュミントなどの薬用ハーブなどを紹介してくれました(写真3)。特に印象に残ったのはアボリジニの伝統的な煙の儀式の実演です。この儀式は、生を讃え、治癒や浄化、または歓迎のために行われます。儀式で使うアカシアの葉は年長者、ユーカリの葉は第二世代とコミュニティ、ネイティブチェリーの葉は若い世代や未来のジェネレーションを意味します。バンクシアの実(写真4))に火をつけ、その火でこれらの葉を燃やし、その煙を体に受けます。バンクシアの実はその中で数時間は火がくすぶり続けるので、火の移動用に用いられていたようです。参加者の皆さんも1人ずつ煙を受け、オーストラリアの大地に迎え入れられました。

写真 4

3日目

写真 5

訪問する予定だったファーマーズマーケットが雨の予報で急遽中止。代わりに近くにある別のマーケットに向かいました。午前中はオーガニック系の人気カフェや小さいながら豊富な品揃えのヘルスフードショップ「Wild Things」でお買い物を楽しんでいただきました。オーストラリアでは、中規模のチェーン店や個人商店のヘルスフードショップがたくさんあります。食材や生活用品に加え、ナチュロパスが常駐しハーブチンキやサプリメントを販売するヘルスフードショップ巡りも旅の楽しみの1つです。また、午後はナチュロパスが活躍するもう1つの場所、クリニックの見学です。昼食後、ビクトリアマーケットで解散し自由行動。途中、希望者だけ集まり、SSNT卒業者が経営する妊活・不妊クリニック「Fertile Ground」を見学。このクリニックでは、ナチュロパス、マッサージセラピスト、漢方医、鍼灸師、婦人科医師、カウンセラーが、妊娠前・妊娠期・授乳期におけるケアを多角的・包括的にサポートしていきます。西洋ハーブ、東洋ハーブ、栄養素サプリなどの調剤室、マッサージルーム、カウンセリングルームを案内してくれました。妊娠中に処方できるハーブは限られていますが、妊活・不妊にはハーブを使う機会がたくさんあることや、一人ひとりの処方が全く異なること、体のケアをした後に産まれた赤ちゃんは大人しくて育てやすいことなどお話を伺いながらハーブチンキの試飲もさせていただきました(写真5)。

写真 6

4日目

まだ肌寒かったメルボルンから、春の暖かいシドニーに移動。

ブルーマウンテンズロイヤルボタニックガーデン

飛行機とバスで移動し、ブルー・マウンテンズ国立公園から少し外れた場所にあるロイヤルボタニックガーデンに到着。ボランティアのネイチャーガイドさんからウォレマイ・パイン(Wollemia nobilis)の説明を受けました(写真6)。絶滅したと考えられていたウォレマイ・パインは、上部に雌球果、下部に雄球果をもつ雌雄同株で、二列に並んで垂れ下がるシダの様な形状の葉の中心部も実は葉であることなど、1億年前から存在した特殊な形状をもつ古代の植物です。1994年に発見され大切に保護されています。ラッキーなことに、シーズンが終わりがけのブッシュフラワーのワラターも見ることができました。(写真7)ブルー・マウンテンの景色を楽しめるホテルに宿泊。この日からナチュロパシックコンサルテーションを希望者の方にお一人ずつ開始しました。

写真 7

5日目


お一人ずつ行ったコンサルテーションでは、山のゆったりとした雰囲気の中、ナチュロパスライルさんの優しく丁寧なコンサルテーションで濃い時間を過ごし、皆それぞれのハーブチンキのブレンドとフラワーエッセンスを処方していただきました(写真8)。一方、残りの人たちはブルー・マウンテンズ国立公園の観光です。ほとんど全員の方が、オプション提案していたスリーシスターズ、シーニックワールド、ルーラでのブッシュウォーキングの全てを楽しまれ、ブルー・マウンテンの自然に触れることができました(写真9)。

写真 8
写真 9

6日目

ブルー・マウンテンに別れを告げ、さらに暖かいゴールドコースト経由でバイロンベイへ移動です。1日かかった移動の後は、敷地内にトレイルコースやプライベートビーチを備えたラグジュアリーなヴィラで最後の豪華なディナーを楽しみました。

7日目

午前中は自由行動でバイロンベイの街でショピング を楽しんだ後、バスで40分ほどの距離にあるエインズ ワース湖へ移動です。

写真 10

エインズワース湖

この地域はオーストラリアを代表するハーブ、ティーツリーの原生地です。湖の周りに立つティーツリーの根からエキスが流れ茶色に染まったティーツリーの湖、エインズワース湖。持参したランチでピクニックです(写真10)。その後、ティーツリーの商品を販売するサースデープランテーションのビジターセンターに立ち寄り、日本へ帰国するためブリスベンの空港に向かいました。自然療法の教育現場、自然に触れるブッシュウォーク、憧れのティーツリーの湖、オーガニックショップでのショッピング、皆様ぞれぞれの想いをもち楽しんでいただけたようです。アロマでも人気のあるティーツリーやユーカリがどのような場所で生まれるのか体で感じた記憶が残ると嬉しいです。参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第51号 2020年3月