2020.12.27.

メディカルハーブ発祥の地へ ––– フィレンツェ ・パドヴァ・ヴェネツィア

日本メディカルハーブ協会国際情報委員

加藤絹子

日程:2018年5月14日~21日

イタリアでハーブ体験! オリジナルツアー開催

JMHA会員19名の皆さんとイタリアが一番美しい季節(5月)に行ってきました。新たな驚きと感動とプチ冒険、JAMHA ならではの、とっておきの旅の一部を報告させていただきます。

1日目

ミラノ着。フィレンツェまで移動中、EAT ITALY(日本のデパートにもあり)大型サービスエリアで休憩。皆さん到着すぐのショッピングにも妥協ナシ!

2日目

早朝、サンタマリアノヴェッラ薬局広報担当の日本人スタッフに迎えられ、歴史的本店の見学。1201年フィレンツェに到着したドミニコ修道士から続く歴史をじっくり見学しました。元々修道院内の小さな医務室で使用する薬、軟膏、香油などの調合に必要だった薬草の栽培を始めたのが起源ですが、修道士のためだけでなく、1612年には一般の人々にもその門を開き、調合を始めました。現在も売られている「メリッサ水」「サンタマリアノヴェッラ水」「気付薬・七人の盗賊」「ラヴェンダー芳香塩」、そして「パスティッケ」(ミント味のタブレット・ 女性特有のイライラに効果的)。これらは当時の薬局長アンジェロ・マルキッシ修道士が調合したレシピとも伝えられており、現在も購入することができます。偉大なアンジェロ・マルキッシのレシピは、その後1716年から1788年までサンタマリアノヴェッラ薬局長を務めたコジモ・ブチェッリ修道士によって、1743年に「王家御用達製造所の秘密」というタイトルでドミニコ修道士のレシピが編纂され、この本がサンタマリアノヴェッラ薬局のレシピ大本になっているそうです。

レシピ大本

サンタマリアノヴェッラ製造所

本店と同じバラの香りに導かれ到着。見学には着替えが必要で、私たちも真っ白に。工場内は各ブースに分かれ、担当スタッフの職人技、手仕事によってこの薬局は支えられている のだと納得。製造所稼働中に、全ての行程を間近で1つひとつ見学させていただきました(写真:2)。

写真:2

サンタマリアノヴェッラガーデンの見学

メディチ家ペトライア邸内の一部にあり、ドメニコ修道士たちが修道院周辺で栽培していたハーブを再現するように栽培環境が置かれてあります。サンタマリアノヴェッラ薬局を代表するハーブ「バルサミータ」「サンタマリアノヴェッラローズ」のフレッシュな香りが印象的でした。その後カステッロ邸へ。

懇親会

サンタマリアノヴェッラ薬局の顔、キッカ女史にご回答いただきました! 質問の途切れない懇親会の後には、JAMHA から参加者の皆さんへのお礼も兼ねたプレゼント。こちらは JAMHA オーダーの非売品!皆さんのご自宅では、今でもサンタマリアノヴェッラ薬局の高貴なバラの香りが漂っているそうです。

700年代につくられた顧客をもてなす「緑の間」。写真右奥は1600年代の薬局長アンジェロ・マルキッシ修道士(2日目)

3日目

フィレンツェ大学でアンナ教授より「ナノケミカル」の講義。穏やかで優しいアンナ教授は隅々までラボ見学させてくださり、これから商品化される新薬のお話、そして学生たちの研究室なども見学いたしました。

フィレンツェ大学アンナ教授(3日目)

フィレンツェ大学内植物園

街中にある小さな居心地のよい植物園。フィレンツェ大学のパオロ先生にガイドをお願いしました。過去2度フィレンツェを襲ったペストも耐えた樹々と薬草たち。ペストに効果的なハーブはサルヴィ、ローズマリー、ペパーミント、アンジェリールートなどとのことです。

ウフィツィ美術館

フィレンツェ在住の画家横山明子さんの引き込まれるような楽しいガイドと共に「プリマヴェーラ」(写真:3)「ヴィーナスの誕生」をはじめ、名画に記された植物の物語に皆さん聞き入っていらっしゃいました。「どの本を読めばもっと理解できるの」「同じようなことが書かれている本を紹介してほしい」と多数お問い合わせをいただきましたが、全ては横山さんの頭の中に。JAMHA のために中世専門の園芸家に学んだり、入念な準備で完璧な「絵画に眠る植物の意味」をガイドくださいました。

写真:3

4日目

今回のツアーはフリータイムも充実していたと好評でした。JAMHA オリジナルオプショナルツアー「メディチ家クイエテ荘見学会(一般非公開)」に行く方、ピサの斜塔とワイナリー見学など個々自由に過ごされていました。クイエテ荘見学会には16名お申込み頂き、なんとツアーで見学するのは(世界で)JAMHA がはじめて。

行方不明になっていたボッティチェリの「聖母の戴冠」 鑑賞、メディチ家の立役者たちが人生の最後を迎えた別荘・謎多きクイエテ莊は、メディチ家最後の人物、アンナ・マリア・ルイーザと友人によって、社会的地位の高い家柄の5歳から17歳の娘たちが教養を身につけ るための寄宿学校として存在していた時期もありました。実際サンタマリアノヴェッラ薬局のドミニコ修道師も薬草などを使った調剤方法を教えにこの女学校へ来ていたそうです。クイエテ荘はその後、女子修道院として存在し、院内の小さな薬局も1800年代始めまで使われていたそうです。薬局内はスパイスのようなスーッとする香りが今も残り、薬草瓶の中にはまだミカンの花や 、ズルカマラ、ざくろの皮などが入っていました。

5日目

パドヴァ植物園。パドヴァ大学付属の世界最古の植物園。広大な敷地の中に様々な植物が生育しています。もっとじっくり見たい!でも、朝からの移動を含め、 見学時間が足りませんでした。次回は半日かけてゆっくり見学しましょう。

ハーバルクッキング

パドヴァ在住ハーブ料理研究家ステファニー先生のレッスン(写真:4)。元ヴェネツィア貴族の広大な別荘で行いました。丁寧な説明とおいしい料理。野草(タンポポ、ルリヂサ)の入ったパイ、 約10種類のハーブを加えたソースがけのローストビーフ。 多種ハーブ詰めホロホロ鳥のオーブン焼き。どれも最高でした!

写真:4

6日目

ヴェネツィアへ移動後フリー。憧れのヴェネツィアで ゆったり気分です。ゴンドラ、サンマルコ大聖堂、夜は5つ星ホテルでの最後の歓談。ドラマティックな美しい夜景なども楽しみました。

“もっとハーブが好きになるディープな経験 ”。皆さんイタリアツアーを満喫くださったようで、写真やお礼の手紙もいただきました。たくさんの方からのお問い合わせ、ご参加くださった皆さんには、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第45号 2018年9月