2020.9.11.

体を整え、美肌を導く

日本形成外科学会専門医

監修・氷見和巳

季節の変わり目に現れる肌荒れや肌のくすみ、
ふと鏡を見た時に気づくシミやシワ……。
日々起こる様々な肌の悩みに一喜一憂してしまうことも多いのでは。
そんな時こそ、目を向けてほしいのが自分の体のこと。
健やかな体は、美しい肌をつくる基本です。
毎日の習慣に体の内側、外側からサポートする
メディカルハーブを取り入れて、
生き生きとした健康美肌を目指しましょう。

暑い夏を乗り切った体と肌は想像以上にお疲れモード

暑い夏が終わり、季節が秋へと変わる頃、ふと感じる肌の不調。ハリやツヤが失われ、シワやたるみなどが気になり始めたら要注意です。特に夏の間に浴びてしまった紫外線によって、私たちの肌は思っている以上にダメージを受けています。中でも波長が長いUVA波は肌の奥の真皮まで届き、肌のハリを保つための重要な要素であるコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワやたるみを引き起こします。また、波長が短いUVB波は、メラニン色素の合成を増やし、シミ、そばかすの原因にもつながります。

さらに、秋に肌の不調を感じやすい理由として、体の不調も考えられます。スキンケアを頑張っているのに、いまいち肌の調子が上がらない……と感じている人は、体の内側に目を向けてみましょう。

夏場に、おにぎりやそうめんなど手軽に食べられる食事ばかり摂っていたり、冷たい飲み物ばかり飲んでいたりという人は、内臓機能が低下し、体が栄養不足に陥っている可能性が高いでしょう。

本格的な「肌老化」に進行する前に、まずは体調を整え、滞った内臓機能の働きを活性化させることが大切です。

  • スキンケアを変えていないのに、最近、肌の不調を感じる
  • 自覚はないが「疲れてる?」と人に言われることがある
  • 顔のくすみやたるみが気になる
  • シミが急激に増えた(または濃くなった)
  • 夏に低下した食欲がいまだに戻らない
  • お菓子やスイーツをよく食べる

肝臓、腎臓、腸の機能低下が体と肌の不調を招く

「肌は体の中を映す鏡」と表現されるように、体と肌はとても密接につながっています。中でも、肝臓、腎臓、腸は体内のデトックス器官でもあり、肌への影響も大きい臓器です。例えば、腸の働きが低下し便秘が続くと、排泄されない老廃物(毒素)が発生し、それらの解毒のために肝臓、腎臓がフル稼働状態に。すると、働き過ぎた肝臓や腎臓の機能も低下し、さらに便秘が長引くといった悪循環に陥ります。その結果、老廃物の停滞、新陳代謝や血液循環の低下などを引き起こし、肌荒れ、くすみ、たるみといった不調が肌に現れるのです。

また、内臓機能が低下することで、必要な栄養素が吸収されにくい状態となり、体や肌に十分な栄養が行き届かなくなります。まずは、1日3食バランスのとれた食事を意識し、低下した内臓機能の働きを高めることが大切です。特に、健康な肌を育む上で欠かせないタンパク質や肌の生まれ変わりをサポートするビタミン、ミネラル、便秘を防ぐ食物繊維は不足しがちな栄養素。普段から食事の品数を増やすなどして、これらの栄養素を積極的に摂取することを心がけましょう。

知らぬ間に老化を招く「糖化」と「酸化」

年齢を重ねれば、ある程度のシミやシワ、たるみは現れるもの。しかし、同じ年齢でも人によってその現れ方に差が出るのはなぜでしょうか。体質や生活環境によっても違いはありますが、そこには大きく「糖化」と「酸化」がかかわっています。

「糖化」とは、体内で不要な糖質とタンパク質が結びついて「AGEs(糖化最終生成物)」という物質を生成してしまう作用のこと。一般に体が「焦げる」と例えられ、このAGEsが肌に蓄積されるとくすみやシワ、たるみの原因になります。特に、お菓子やパンなど糖質過多な食事が多いという人は要注意。血糖値を急激に上げる食事は、AGEsをつくり糖化を加速させます。普段から、野菜から食べるベジファーストを意識するなど血糖値を急激に上げない食べ方を習慣にすることが大切です。

「糖化」が起きると、抗酸化酵素の活性化が失われ、酸化が進む原因にも。また活性酸素はAGEsが起こす細胞の炎症を促進させ肌老化を招くなど、糖化と酸化は相互に作用します。

体が「サビる」原因は多量に発生した活性酸素

体が「サビる」と例えられる「酸化」は、紫外線などの外的ストレスや心身のストレス、不規則な生活など、様々な要因によって体内で活性酸素が多量につくられることで起こる現象です。活性酸素は体内に侵入した細菌などを取り除く免疫機能の一部ですが、つくられ過ぎてしまうと体内の細胞を酸化させ、動脈硬化やガンなどの生活習慣病を招く他、シミやシワ、白髪などの老化の原因にもなります。ただ人間の体には、活性酸素の発生を抑制したり、分解処理をしたりする防御システム(抗酸化作用)が備わっています。

抗酸化作用をもつ食材で体の内側から肌を守る

抗酸化作用をもつのは、主に抗酸化酵素と抗酸化物質の2種類。抗酸化酵素は私たちの体内でつくられますが、加齢によって生成される量は減少すると言われています。そのため、食事などから意識的に抗酸化物質を多く含む食材を摂取し、抗酸化力を高めることが、体と肌を「酸化」から守るためにとても重要なのです。抗酸化成分には、ビタミン、ミネラル、フィトケミカルなど様々あり、主に野菜や果物、大豆製品、ナッツ類などに多く含まれています。また、高い抗酸化力をもつハーブも忘れてはならない食材の1つ。ハーブティーはもちろん、料理に活用すればより効率的に抗酸化成分を摂取できます。いつもの食事に、これらの食材をバランスよく取り入れることを意識しましょう。

他にも十分な睡眠、適度な運動を心がけることも「糖化」や「酸化」の抑制につながります。特に十分な睡眠は、成長ホルモンを分泌させるため、肌のターンオーバーを促し、くすみやシミの予防が期待できます。

日頃から規則正しい生活習慣を意識し、体を整えることが、内側から輝く健康美肌をつくる近道なのです。

体の内側から肌を守る
日本形成外科学会専門医
監修・氷見和巳 ひみ・かずみ
北里大学医学部卒業。北里大学形成外科・美容外科をはじめ様々な病院で知識や技術を学び、美容医療にも携わる。現在は、北里研究所病院(形成外科・美容外科・美容医学センター)などで勤務。医療以外の様々な資格(アロマ、スキンケア、スーパーフードなど)を取得しながら、健康と美をサポートしている。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第45号 2018年9月