メディカルハーブの安全性

『メディカルハーブ安全性ハンドブック』初版の監修

わが国でもメディカルハーブへの関心の高まりを受け、ハーブティーやハーブサプリメントを街で目にする機会が多くなって来ました。 こうした中、ハーブ愛好者にとってもハーブを製品化する企業の側にとっても、最も重要な点は安全性の確保です。 ところが残念なことにわが国にはハーブの安全性を正面から論じた書籍は近年までほとんど流通していないのが実状でした。

そのような状況から当協会では『メディカルハーブ安全性ハンドブック』(原題:Botanical Safety Handbook)を監修し、 安全性に関する正しい情報を啓蒙・普及していくことになりました。

『メディカルハーブ安全性ハンドブック』は1997 年に AHPA(米国ハーブ製品協会)によって刊行されたもので、650 品目に及ぶ メディカルハーブを安全性の観点からを7段階にクラス分類し,使用上の注意やハーブ製剤としての使用可否等を科学的アプローチによりまとめた安全性データ、さらに付録として植物化学成分の 解説やメディカルハーブの薬理作用などを収載したもの。日本版は 2001 年に当協会の前身である「メディカ ルハーブ広報センター」の監修によって刊行されました。

本書は米国ハーブ製品協会(AHPA)によってすべての天然物質が本来的に安全であると予断することなく、また一般的ないくつかの文献が示唆するように無批判な情報源からの毒性の報告を盲目的に受け入れることなく、 ハーブの安全性の評価の合理的基盤を確立することを目的に編集されたものです。本書では、メディカルハーブの安全性について以下の4つのクラスに分けて解説しています。

  1. クラス1:適切に使用する場合、安全に摂取することができるハーブ
  2. クラス2:記載された植物含有成分の使用に関する資格がある専門家(医療従事者)による特別な 指示がない限り、以下の使用制限が適用されるハーブ
  3. クラス3:「医療従事者の監督下でのみ適切に使用すること。」というラベル表示を勧告する重要なデータが確認されているハーブ。ラベルには、以下の適正使用情報を記載しなければならず、容量、禁忌、生じ得る有害作用および薬物との相互作用、ならびに本品の安全使用に関する他の関連情報が提供されています。
  4. クラス4:分類のための十分なデータが入手できないハーブ

推薦図書『メディカルハーブ安全性ハンドブック』第2版

本書は世界的に信頼を得たおり、わが国でも厚生労働省が食薬区分の見直しに際してハーブの安全性基準の参考文献として採用されました。2001年にはこうして初版の『メディカルハーブ安全性ハンドブック』が刊行され、その後の様々な研究状況の成果を踏まえ、第2版では 『相互作用』 や詳細な研究情報が大幅に増補されて2016年3月中に刊行され、当協会のメンバーたちによって監訳され、現在は第2版を推薦図書としております。

500種類以上の薬用ハーブの安全性、相互作用情報に関する決定版。第2版では 『相互作用』 や詳細な研究情報が大幅に増補。(原題:BOTANICAL SAFETY HANDBOOK)

【本書の特長】

  1. 植物の学名A~Zの順で約500種を配列。
  2. 学名、一般名、英名、和名、生薬名、異名、アーユルヴェーダ名、中国名、別名も掲載。
  3. 安全性、相互作用クラス、禁忌などの注意事項を紹介。
  4. 薬やサプリメントとの相互作用の臨床試験、被疑薬やサプリメントとの相互作用の症例報告や臨床試験における有害事象の報告、有害事象の症例も充実。
  5. 付録として、植物科学成分、薬理作用など植物の安全性に関する情報を付す