2018.6.1.

ガーデニングデザイン:ハーブのある暮らしを楽しむ
<夏>「みどり」を訪ねよう

樹木医・公園管理運営士

本位田有恒

「緑」と「みどり」

私は「緑」のことをお伝えする時には、あえて「みどり」とひらがなで書くようにしています。「緑」という字からは「緑色」「葉っぱ」などが連想されます。しかし「みどり」というひらがなの言葉にすると、さらに「植物」「花」「生きもの」「景色」「自然」「公園」など、身近にある環境、景観などあらゆるものが連想され、そしてそこには人の暮らしも含まれます。私の考える「ガーデニング」は、まさに「みどり」とおつき合いすることです。様々な「みどり」を見て、知って、関わることで「ガーデニング」をはじめてみませんか。

Lesson1:ガーデンをつくるということ

ガーデニングといっても、何も壮大なことを考える必要はありません。ベランダに小さなプランターを1つ置けば、それでもう「あなたのガーデン」の誕生です! ガーデンをつくると、生き物がやってきます。そこから「みどり」とのつき合い方が自ずと見えてくるでしょう。その空間を通じて私たち自身の暮らしを考えることにもつながるのです。

ガーデニングをする上では、植物の性質を知っておくこともとても重要です。植物は常に細胞分裂を繰り返しながら、新しい芽を出し、枝や葉っぱが育ち、成長を続けます。建物はでき上がった時が完成ですが、ガーデニングというのは、植物を植えた時が始まりです。そこから日々、育っていきます。ですから、それぞれの植物がどのような性質をもち、どのように成長していくかも最初に考えに入れておかなければいけません。分かっているようで、意外と先を想像できていない人も多いのです。

Lesson2:ガーデンのヒントを探しに出かけよう

皆さんは、どのようなガーデンをつくりたいですか。具体的なイメージがないのであれば、まずは、いろいろなところにお出かけてしてみませんか。公園、田んぼ、森、山、庭園、カフェ……。あなたにとって居心地のよい場所を見つけ、それをガーデニングのインスピレーションに生かしていきましょう。

例えば山の中で出合った木漏れ日の風景が気に入れば、常緑樹でなく落葉樹をメインにガーデンをつくろう、と考えることができます。冬場は葉が落ちて日が入りやすくなり、夏場は木々の葉がギラギラとした日差しを穏やかに抑えてくれます。木漏れ日があるガーデンは、下草も育てやすくなります。

田舎の風景にピンときたのであれば、コナラやカシなどの“株立ちの木”を植えるのもアイデアの1つです。株立ちの木というのは、昔、薪にしたり、炭にしたりするために伐採した後の切り株からまた新しい枝が育っている状態。萌芽ほうが更新と呼ばれ、里山の営みでできた木の姿なのです。里山の暮らしをガーデンにもデザインしていくことで、ふるさとの景色をつくり出すこともできます。たくさんの生き物が生息する田んぼも感性の宝庫。植物だけでなく、様々な生命が入り混じって1つの風景を形成しています。

ぜひ、あなたのお気に入りの場所を見つけて、ガーデニングのヒントにしていきましょう。

お知らせ

2018年4月に神戸布引ハーブ園に新スポット「ザ・ヴェランダ神戸」がオープン。古きよき神戸の洋館の雰囲気とモダンなカフェが融合した優雅な空間を楽しめます。こだわりのオリジナルハーブティーもおすすめです。

次回は、ガーデンのイメージを具現化する方法をご紹介します。

樹木医・公園管理運営士
本位田有恒 ほんいでん・ありつね
神戸布引ハーブ園支配人兼園長。大学で造園について学び、神戸市の都市公園・日本庭園「相楽園」の園長を務めるなど、数々の庭園や公園づくりに携わる。神戸市の緑花まちづくりにも取り組み、植物に対して深い造詣をもつ。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第44号 2018年6月