2015.12.1.

ビルベリーの摂取による健康効果

(株)わかさ生活商品部医学博士

荘厳哲哉

はじめに

日本の高齢者人口の割合は増え続け、健康寿命を延ばすことが重要な課題となってきています。われわれが利用する情報の80%が視覚から得られるもので、眼の健康を保つことは非常に重要です。この目の健康に寄与するブルーベリー素材の健康食品(サプリメント)効果が多くの人に認知された結果、最近ではドラッグストアやコンビニエンスストアなどでの販売も目立つようになってきました。これらブルーベリーサプリメントの多くには、北欧産ビルベリーエキスが入っています。そこで今回は、このビルベリーのもつ健康効果についての研究をお伝えします。

ビルベリーとは

ブルーベリーの近縁種ビルベリー(学名:Vaccinium myrtillus)は、北ヨーロッパなどに自生する落葉性の低木で、初夏に濃い紫色の小さな果実を結実します。昔から生食をはじめ、ジャムやパイなどに加工され、北欧の人々にはなじみの深い植物です。食用以外にもビルベリーは、下痢の際の整腸剤や壊血病予防食品として1,000年以上も前から使われてきました。このビルベリーに多く含まれているのが、生理活性物質のアントシアニンです。

アントシアニンとは

アントシアニンは天然色素で、植物が外敵や紫外線から身を守るための防衛物質として存在し、抗酸化能力をもつことが知られています。アントシアニンの構造は基本骨格であるアントシアニジンに糖鎖が組み合わさることで形成されており、ビルベリーにはその中でも抗酸化能力が高いといわれているデルフィニジンやシアニジンが多く含まれており、その強い抗酸化能力の要因となっています。

眼に対する健康効果

ヒト試験の研究結果

ビルベリーの眼への健康効果を示した研究として、日常生活の中でコンピューターやスマートホンなど、ディスプレイを使用した作業を行う人を対象にした試験があります。ビルベリーエキス(480mg)を含んだ食品を8週間飲んだ人はビルベリーエキスを飲んでいない人よりも、作業を行った後の眼精疲労に対して、自覚症状の改善と、機器を使った疲れの指標に対して改善があることが示されました1)。また、このほかにもビルベリーエキス(107mg)を含んだ食品を4週間飲んだ試験もあります。これはディスプレイ作業を行った後の眼の回復を調べる試験ですが、ビルベリーエキスを飲んだ人は、飲んでない人よりも眼の疲労回復の促進が認められました2)。これらの結果はビルベリーエキスをとることで、ディスプレイを使った作業において目の疲れを緩和することを示しています。

基礎研究の研究結果

ビルベリー服用と眼の関係は動物実験でも確認されています。眼に炎症を起こしたマウスにビルベリーエキスを投与することで、網膜への炎症を抑えるとともに、炎症によるロドプシンの減少を抑えることが確認されました3)。眼に有害といわれているブルーライトが引き起こす活性酸素に対して、ビルベリーエキスが細胞へのダメージを軽減させることも報告されています4)。ビルベリーには病気の原因となる活性酸素に対して抗酸化作用を示し、病気の予防効果があると考えられています。これらの研究以外にも実際に病気のモデル動物を使った白内障や緑内障などの研究もされており、ビルベリーには眼の疾患予防への期待が高まっています。

その他の健康効果

ビルベリーには眼以外にも体全体の健康を保つ効果もあります。心臓と血管の病気のリスクが高い人がビルベリージュースを4週間飲み、血液を検査したところ、炎症を改善することがわかりました5)。また、糖尿病のモデル動物を使った実験ではビルベリーを与えることで糖の取り込みの促進と血糖値の低下、インスリン感受性が上がることが確認されました6)。これら研究結果はビルベリーが、活性酸素などが原因となって起こる生活習慣病に対して、予防効果が期待されることを示しています。

ビルベリーにはそのほかにも、潰瘍に対する改善効果があることがわかっています。潰瘍性大腸炎の患者に対して、ビルベリーが炎症を抑えること7)や、モデルマウスを使った実験では、アルコールによる胃潰瘍発生を抑制する効果をもつことも示されています8)。このようにビルベリーは内臓の疾患に対しての改善や予防効果も認められているのです。最近ではビルベリーと脳機能の改善の研究も行われています。例えばアルツハイマー病のモデルマウスにビルベリーエキスを与えることで、短期記憶(認知機能)低下に予防効果が認められました9)。このようにビルベリーエキスが人間の身体の老化や生理機能低下に対する予防効果をもつことを示す研究が続々と発表されています。

おわりに

近年の食生活の欧米化や生活の乱れ、ストレスによる活性酸素の発生が身体疲労の原因となり、医療費高騰のひとつの要因となっています。抗酸化物質の適切な摂取による活性酸素のコントロールが、疾患予防や健康寿命を延ばすためにとても大事なことなのです。普段の食生活で必要量の抗酸化物質が摂取できないときには、サプリメントなどをバランスよく摂取し、健康を維持しましょう。

(文献)

  1. Ozawa Y,et al.J Nutr Health Aging.2015;19:548-54.
  2. 小齊平麻里衣,Jpn Pharmacol Ther.2015;43:1339-46.
  3. Miyake S,et al.Lab Invest.2012;92:102-9.
  4. Ogawa K,et al.BMC Complement Altern Med.2014;120.
  5. Karlsen A,et al.Eur J Nutr.2010;49:345-55.
  6. Takikawa M,et al.J Nutr.2010;140:527-33.
  7. Biedermann L,et.al.J Crohns Colitis.2013;7:271-9.
  8. Ogawa K,et al.Phytother Res.2011;25:1160-5.
  9. Yamakawa MY,et al.Nutr Neurosci.2015;Aug25.

 

(株)わかさ生活商品部医学博士
荘厳哲哉 そうごん・てつや
医学博士。広島大学大学院医歯薬学総合研究科修了。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第34号:2015年12月