2011.10.20

『代替医療のトリック』に記載のハーブ療法について協会の見解を教えてください

Q:私は健康管理のために積極的にハーブティーを飲むなど、ハーブ療法に取り組んでいます。『代替医療のトリック』(サイモン・シン&エツァート・エルンスト著 青木薫訳 新潮社)ではハーブ療法も取り上げられているそうですが、その内容についてどのように評価されているのでしょうか?

A:

『代替医療のトリック』では鍼やホメオパシー、カイロプラクティックやハーブ療法の4つの療法の有効性について論じており、ハーブ療法については、有効性について他の3つの療法に比べて好意的な見方をしています。一方、安全性については、ハーブ薬は人間を害する場合があると述べています。

まず、本書で用いられる「ハーブ薬」という言葉はエフェドラ(麻薬)のような医薬品も含めていることに注意していただきたいと思います。当協会のテキストなどで扱っているハーブは食品分類のものであり、概ね作用が緩和であるため、通常の使用に関しては安全性が高いと思われます。また、本書ではハーブ薬の潜在的危険性として

  1. ハーブ薬の直接的毒性
  2. 他の薬との相互作用によって引き起こさせる間接的反応
  3. 汚染および混ぜ物の危険性

という3つをあげています。この点については本書の指摘の通りであり、食品分類のハーブであっても配慮が必要です。

まず1について、当協会では『メディカルハーブ安全性ハンドブック』(東京堂出版)を監修し、500種類以上のハーブの安全性や使用上の注意の普及に努めています。

2については具体例をテキストに記載していますが、2と3の最新情報については独立行政法人国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性情報」http://hfnet.nih.go.jp/ を参考にすると良いでしょう。

なお、本書の巻末に「より詳しく知りたい読者のために」として、ハーブ療法の関係では5つの書籍が掲載されていますが、このうち2つは翻訳・出版されているため日本語で読むことが可能です。

  1. Fugh-Berman, A., The 5-minute herb and dietary supplement consult, Lippincott, Williams & Wilkins, 2003.
    邦訳「エビデンスに基づくハーブ&サプリメント事典」監訳:橋詰直孝、南江堂
  2. Ulbricht, C. E., Basch, E. M.(eds). Natural Standard Herb & Supplement Reference: Evidence-Based Clinical Reviews, Elsevier Mosby, 2005.
    邦訳「ハーブ&サプリメント~ナチュラルスタンダードによる有効性評価」監修:渡邉昌、産調出版
  3. Hurley, Dan, Natural Causes: Death, Lies and Politics in America’s Vitamin and Herbal Supplement Industry, Broadway, 2006.
  4. Herr, S.M., Ernst. E., Young, V.S.L, Herb-drug interaction handbook, Church Street Books, 2002.
  5. Whyte, J., Bad Thoughts: A Guide to Clear Thinking, Corvo, 2003.