2019.5.31.

生活習慣を見直そう––10年、20年後がきっと変わる!––

いりたに内科クリニック院長

監修:入谷栄一

暑い夏は、ついつい生活習慣が乱れがち。自分の健康を過信して、不摂生を重ねたり小さな不調を放置したりしていませんか?毎日、何気なく行っていることも積み重なれば10年、20年後には大きな違いとなって現れます。長い人生を健やかに暮らしていくために現在のあなたの生活習慣を見直して健康的なライフスタイルを実践していきましょう。

今日から始める新習慣〜その先の病気を予防するために

健康には生まれもった体質だけでなく、生活習慣が深くかかわっています。 10年、20年後にも高いQOL(生活の質)を維持するために、 現在のライフスタイルを見直し、病気になりにくい体をつくりましょう。

将来も健康を維持するためには日常生活の積み重ねが大事

食事、運動、睡眠といった毎日繰り返している習慣は、体調やメンタルに影響を与え、私たちの健康に直結する大切な要素です。現在のライフスタイルを見直し、日々の健やかさを保つことは、将来の病気を防ぎ、QOL(quality of life=生活の質)の高い状態を維持して、いつまでも自分らしく生き生きと暮らしていくことにもつながります。

日頃の生活習慣が病気の発症や進行に深くかかわっているものを「生活習慣病」と呼びます。糖尿病、高血圧、脂質異常症、がん、心筋、狭心症、脳卒中、、膝関節症、歯周病など、生活習慣病に含まれる病気は多岐にわたります。

生活習慣病のリスクを測る指標の1つとされているものに「メタボリックシンドローム」がありますが、これは内臓の周辺に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」に、高血圧、脂質異常症、高血糖などを併せもった状態をいいます。1つひとつの症状は軽度でも、複数重なることで血管の老化である動脈硬化を急速に進め、心臓病や脳卒中の発症リスクを高めてしまうことが分かっています。

生活習慣病やメタボリックシンドロームは中高年男性の病気と思われがちですが、年齢や性別を問わず注意が必要です。女性は特に、ホルモンバランスが変化する閉経後に生活習慣病が急増します。また、食事やライフスタイルの変化で、子どもにも生活習慣病予備軍が増えているのが現状です。今は問題がないから大丈夫と思い込まず、10年、20年後の健康を考えて、生活を見直しましょう。


Check List

当てはまる項目が多いほど、将来、生活習慣病を発症するリスクが高くなります。
  • 食べ過ぎや飲み過ぎが多い
  • 野菜や果物はあまり摂らない
  • 睡眠は6時間未満である
  • ストレスが多い
  • 体を動かすのが嫌い
  • 喫煙している
  • 年々太ってきている

ライフスタイルの見直しは
食事・運動・休養を3本柱に

体と心を健やかに保つには、バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠が不可欠です。日常生活ではさらに、ストレスコントロール、適正体重の維持、節酒、禁煙を心がけましょう。できることから取り組み、1つでも改善すれば、それだけ確実に健康に近づき、生活習慣病のリスクも減っていきます。

健康維持のためには、「活性酸素」を増やさないことも大切です。活性酸素は通常の呼吸でも発生し、殺菌作用などプラスの働きもしますが、増え過ぎると正常な細胞を傷つけ、病気や老化を促進します。活性酸素は紫外線、ストレス、大気汚染、アルコール、喫煙、過度な運動などで大量に発生するため、これらをできるだけ避けるようにしましょう。

女性は更年期がひとつの節目

「糖尿病が強く疑われる者」の割合(20歳以上,性・年齢階層別)

女性ホルモンのエストロゲンには血管をしなやかに保つ働きや内臓脂肪を蓄えにくくする働きがありますが、閉経以降は女性ホルモンの保護がなくなり、女性も内臓脂肪型肥満、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などのリスクが高まっていきます。この時期はライフスタイルの見直しがとりわけ重要です。

メタボリックシンドロームと関係が深いのは、お腹の臓器の周りに脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」。内臓脂肪は皮下脂肪よりも食事の節制や運動で減りやすいといわれます。


食生活の見直しから始めよう

生活習慣の中でも食事は特に大切な要素。まず、食生活の見直しから始めてみましょう。

食生活が整うと、体調がよくなるだけでなく、無理なく適正体重に近づき精神も安定します。次のポイントを押さえましょう。

バランスよく食べる……体によいといわれるものでも同じものを大量に食べ続けるのはNG。幅広い食品を摂るようにしましょう。

規則正しく食べる……朝食を摂ったり摂らなかったり、まとめ食いをしたりといった不規則な食習慣は、消化吸収だけでなく代謝やホルモンの分泌に影響し、体調不良や肥満を招く原因となります。

よくかんでゆっくり食べる……過食を防ぎ、肥満の予防になります。唾液がよく出ることで、虫歯や口臭の予防にもつながり、栄養素の消化吸収もよくなります。

腹八分目を心がける……食前にお茶を飲む、一口食べたら箸を置くなど工夫しましょう。いつもお腹いっぱい食べないと満足できない人は、ストレスを食事で解消していないか見直しを。

野菜から食べる……野菜・海藻・きのこなどの食物繊維が豊富なおかずを先に食べることで、糖の吸収速度を穏やかにし、高血糖によるダメージや肥満を防ぎます。

夜遅い食事を避ける……寝る前の食事は肥満の原因となりやすいだけでなく、睡眠の質の低下にもつながります。できるだけ就寝3時間前には食事を終えるようにし、どうしても摂る場合は軽く済ませましょう。

外食は賢く利用する……外食や市販の弁当類はエネルギーと塩分の過多、野菜不足になりがち。利用する場合は単品よりも品数の多い定食を選んだり、野菜や海藻のおかずを追加したり、主食を少なめにオーダーしたりしてバランスをとりましょう。

健康的な食事の例として「昔の和食から塩分を引き、低脂肪の乳製品を加えた食事」や、「魚介類や野菜をたっぷり使う地中海食から脂質を減らした食事」があります。参考にしてみましょう。


植物の力をとり入れよう

病気を追い出す植物性成分
フィトケミカルを毎日の食卓に

ポリフェノールやリコピン、イソフラボンなどの植物性成分は「フィトケミカル」(phytoは植物、chemicalは化学成分の意味)と呼ばれ、強力な抗酸化作用やがん抑制作用、免疫増強作用をもつことが知られています。人はフィトケミカルをつくり出すことはできませんが、それらを含んだ野菜や果物を食べることで植物の力をとり入れ、抗酸化力や免疫力を高めることが可能です。

フィトケミカルは主に野菜や果物の色素や香り、苦味、渋み、辛み成分に含まれています。しかも、1つの野菜や果物には複数のフィトケミカルが含まれ、緑茶を例にとっても、カテキン、カフェイン、テアニン、サポニン、クロロフィル、GABAなど、関与しているフィトケミカルは実に豊富です。これらの相乗効果で、私たちは健康に役立つ様々な働きを得ることができるのです。

フィトケミカルには色素成分が多いため、色で考えると分かりやすく、効率的に摂取できます。日頃から様々な色の食品を摂るように意識することで、自然と栄養素をまんべんなく摂ることができるでしょう。

代表的なフィトケミカル 多く含む食品
リコピン、カプサイシン トマト、スイカ、 パプリカ、唐辛子
赤紫 アントシアニン、 ポリフェノール ぶどう、紫いも、黒豆、 赤ワイン、なす
α-,β-カロテン、 ゼアキサンチン にんじん、かぼちゃ、 マンゴー
クリプトキサンチン、 フラボノイド とうもろこし、レモン、 ゴールドキウイ、大豆
黄緑 ルテイン、 ゼアキサンチン ほうれん草、アボカド
グルコシノレート、インドール、クロロフィル ブロッコリー、 オクラ、 ケール、モロヘイヤ
白緑 硫化アリル、 イソチオシアネート キャベツ、にんにく、ねぎ、大根
色鮮やかな夏野菜には、ポリフェノールやカロテノイドが豊富に含まれます。

毎日の体と心の調整に
メディカルハーブを役立てよう

フィトケミカルを効率よく摂ることのできる方法の1つが、メディカルハーブです。食前にハーブティーを1、2杯飲めば胃が膨れて満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを抑えることができます。さらに、ハーブのリラックス作用によってストレスからくる暴飲暴食や嗜好品の摂り過ぎを防ぐ効果も期待できます。また、塩分の摂り過ぎが気になる人は、料理にハーブの香りや味を加えれば、薄味でも満足感の高い食事になります。

 生活習慣病対策としてハーブをとり入れる場合は、以下を参考にしましょう。

肥満マルベリー、マテ、アーティチョーク
高血圧リンデン、ホーソン
動脈硬化、 脂質異常症アーティチョーク、ミルクシスル
糖尿病マルベリー
高尿酸血症 (痛風)ネトル、ダンディライオン

いりたに内科クリニック院長
監修:入谷栄一 いりたにえいいち
いりたに・えいいち 総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。日本メディカルハーブ協会理事。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。